2018年ファッション業界の騒動を振り返る 企業・ブランドに求められる対応とは

2019年もデザインの模倣や労働環境問題など、さまざまトラブルが噴出し、訴訟に発展したケースも多かった。法令遵守の意識が高まる中、国内外でファッションローと呼ばれる法概念が浸透しようとしている。

日本初の解説書「ファッションロー」(勁草書房)によると、ファッションローとは、「ファッションデザイナーやファッション産業に関わる知的財産法、契約法、会社法、商法、不動産法、労働法、広告法、国際取引法、関税法等を含む法領域の総称」を指すという。範囲は広いが、最低限度の法知識を持つことは、職種を問わず円滑なビジネスのために必要だ。

そこで、2019年にの記事の中から、話題となったファッション業界の訴訟をまとめてみた。あわせて、SNSをにぎわせた疑惑の騒動の他、業界人をサポートする弁護士などの活動を紹介する。

【2019年話題になったファッション業界の訴訟まとめ】

「カルティエ」 vs 米百貨店サックスフィフスアベニュー改装に伴う移設問題で訴訟合戦に
「カルティエ」が地下フロアの移設に反対
「リモデルしても『カルティエ』の場所は変わらないと言われた」
サックスは「『カルティエ』の移設拒否で損害発生」

日本発「ザリラクス」が巨大SPAブランド「ザラ」に勝訴「ザラ」がコートの形態を模倣
「ザラ」が「ザリラクス」のコートの形態を模倣、販売
「継続可能なブランド作りを心掛けないければいけない」
「非意図的かつ特殊な事例から責任をもって謙虚に学ぶ」

「ルイヴィトン」がパロディ商品を巡って日本の「ジャンクマニア」に勝訴
訴訟相手は日本の業者
賠償金額は170万円
双方のコメントは得られず

「シャネル」がラグジュアリー中古品販売サイトを模倣品販売の疑いで提訴サイト側は「事実無根」と反論
訴えられたのはザリアルリアル
「シャネル」は「模倣品を販売している」と主張
中古品販売サイト側は「傍若無人な訴え」と反論

「ルブタン」のレッドソール商標権侵害訴訟商標の有効性については「完全勝訴」
2012年にオランダのシューズチェーンを提訴
「ルブタン」の商標は有効と判断
次は商標権を侵害しているかどうかを争う

グッチ対ゲス商標権侵害訴訟9年にわたる訴訟に終止符
和解が成立
伊仏中の訴訟は終結
アメリカではゲスに470万ドルの賠償支払い命令

「プーマ」にロゴ使用を差し止められた「フィリップ プレイン」デザイナーがSNSで怒りの反論
2017年9月にドイツで使用差し止めの仮処分
「プーマ」は友好的解決を模索
「フィリップ プレイン」デザイナーは徹底抗戦の構え

エディ vs ケリング訴訟は二審もエディに軍配ケリングに12億円の支払いを命令
ケリングは不服申し立てを行う予定
ケリングは「契約破棄はエディからの申し出だった」と主張
一審もエディの勝訴

人気モデルのアジョアアボアーが前所属事務所を訴える約2000万円の賃金未払いを主張
移籍問題で前事務所と現事務所が訴訟に
前事務所は支払い義務を否定
前事務所の代理人のコメントは得られず

ブルースウェーバーが新たに男性モデル5人からセクハラで訴えられるウェーバー側は反訴の準備中か
モデルらは「性的人身売買や性的虐待の被害にあった」と主張
ウェーバーの代理人は「事実無根」と反論
別のモデルともセクハラを巡って係争中

「カルティエ」 vs 米百貨店サックスフィフスアベニュー改装に伴う移設問題で訴訟合戦に
「カルティエ」が地下フロアの移設に反対
「リモデルしても『カルティエ』の場所は変わらないと言われた」
サックスは「『カルティエ』の移設拒否で損害発生」

日本発「ザリラクス」が巨大SPAブランド「ザラ」に勝訴「ザラ」がコートの形態を模倣
「ザラ」が「ザリラクス」のコートの形態を模倣、販売
「継続可能なブランド作りを心掛けないければいけない」
「非意図的かつ特殊な事例から責任をもって謙虚に学ぶ」

SNSが発端となって訴訟や炎上騒動に発展することも少なくない。最近では、インフルエンサーの「ダイエット プラダ(Diet PRADA)」によるSNS上での指摘が追い討ちをかけ、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」が中国市場を失いかねない事態に追い込まれたように、SNSの影響力は今やあなどれない。

「ヴィヴィアン」が最新コレクションのデザイン無断流用をインスタで謝罪
4日、公式アカウントにアップ
「ルイーズ グレイ」のデザインを無断で
700のコメントは多くが手厳しい

「ロエベ」ジョナサン vs 「ダイエット プラダ」!?SNSの攻防戦
事件はインフルエンサーのインスタで判明
スタイリストが「ロエベ」を糾弾
ジョナサンの対応に拍手

H&Mのグラフィティ無断使用問題が激化謝罪後もSNS批判の嵐カウズも投稿
H&Mが無断でグラフィティを背に広告を撮影
当初は「グラフィティは著作権で守られない」などと主張
SNSで批判相次ぎ、訴訟取り下げ陳謝

「ヴェトモン」が「ヴィーロン」のデザインを盗用?エイサップバリが指摘
問題となっているのは迷彩柄のパンツ
似ているもののディテールに違いあり?
「ヴェトモン」からはコメントなし

「ギャルソン」の最新コレクション、増田セバスチャンが自身の作品との類似性を指摘
1月18日付のブログで指摘
SNSで話題に
篠原ともえや大森靖子もコメント

「ヴィヴィアン」が最新コレクションのデザイン無断流用をインスタで謝罪
4日、公式アカウントにアップ
「ルイーズ グレイ」のデザインを無断で
700のコメントは多くが手厳しい

「ロエベ」ジョナサン vs 「ダイエット プラダ」!?SNSの攻防戦
事件はインフルエンサーのインスタで判明
スタイリストが「ロエベ」を糾弾
ジョナサンの対応に拍手

【氾濫する偽物を逆手にとった戦略も】
上で見た通り、ファッション業界における訴訟や疑惑、炎上騒ぎは後を絶たない。一方でブランド側が、コピー商品が蔓延する現状を逆手に取ったマーケティングを行うこともある。“パロディー”も業界ではよく見る手法だ。

「イケア」バッグのパロディーがバカ売れパリへの切符を手にしたLA発ストリートブランド「ノーウッド」とは?
カニエやミーゴスらも顧客
日本でもポップアップを開催か
パロディーフーディーは約1万5000円

「ジョーダン」と「ユニオン」がフリマで新作コラボ“エア ジョーダン 1”を密かに販売
全米最大規模のフリマに匿名で出店し、販売
その模様をおさめた映像を公開
ショーンウェザースプーンは偽物だと疑う

本物?偽物?「ディーゼル」が「デイゼル」をNYにオープン
2月8日からオープン
偽物販売で有名なカナルストリートに
「全て“偽物”っぽく作った“別物”」

「シュプリーム」がロゴをパロディーした養豚企業、問題のアイテムを使用しルックを撮影
2019-19年秋冬コレクションで登場したキャップ
1959年創業の米大手養豚企業がツイッターで反応
コラボレーションが実現か?

「イケア」バッグのパロディーがバカ売れパリへの切符を手にしたLA発ストリートブランド「ノーウッド」とは?
カニエやミーゴスらも顧客
日本でもポップアップを開催か
パロディーフーディーは約1万5000円

「ジョーダン」と「ユニオン」がフリマで新作コラボ“エア ジョーダン 1”を密かに販売
全米最大規模のフリマに匿名で出店し、販売
その模様をおさめた映像を公開
ショーンウェザースプーンは偽物だと疑う

【ファッション業界をサポートする法律家たち】
複雑な法解釈に頭を悩ませている業界人もいるのではないだろうか。そんな業界人に手を差し伸べるファッションローに精通した法律家を一部紹介したい。彼らは無料の法律相談を設けるなど、門戸を広く開いている。ファッションローを解説するイベントや弁護士らによる講習会など、現在では数多くのファッションロー関連イベントが企画されている。また、「WWDジャパン」は毎月、ファッションローを専門とする法律家を招く「ファッションロー相談所」を連載している。

“ファッションロー”を学ぶスパイラルで全5回の連続講座開催
ファッションに関する講座を企画するファッション スタディーズ(FASHIONSTUDIES)が開催した連続セミナー「Fashion Biz Study ファッションローの基礎」。5~9月の期間、5回にわたって商標法、意匠法著作権法、特許法などファッションローの基礎について講義した。

ファッションと法律の架け橋ファッション専門の弁護士集団「ファッション&ロー」に聞く
労働問題や模倣品問題など、ファッション業界を取り巻くトラブルは年々増えている。またトラブル増加に伴い、ファッション業界に関連する法律を総称する“ファッションロー”という概念が日本に浸透し始め、ファッションローに携わる専門家も増えている。弁護士を中心にファッションローに関するセミナーの開催や無料法律相談などを実施する専門家集団「ファッション&ロー(FASHION & LAW)」もその一つだ。彼らは芸術や文化に関するサポート活動を行う非営利団体「アーツ&ロー(ARTS & LAW)」に所属する弁護士たちがファッションローに特化することを目指して結成したチームだ。彼らにファッション業界の現状を聞くと、「あらゆる人が同じようなことで困っていて、まずは弁護士に“相談する”という方法があることを知ってほしい」と口をそろえて語る。

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です